「うまひゃひゃさぬきうどん」さとなお著
1998年11月3日。
香川で生まれ育ったぼくは、うどんのことを
それなりに知っているつもりでした。
しかし、「恐るべきさぬきうどん」が1993年に発刊され、
「どうやら奥深いさぬきうどんの世界があるようだ」とは、
何となく伝え聞くものの、日常の生活で、特段の不便は感じず、
深く関心を持つことはありませんでした。
1997年。
独立し、同時に「四国職業能力開発大学校」と
「穴吹デザインカレッジ」で教えることなり、
実は、県外からの学生に「さぬきうどん」について
教えてもらったのである。
彼らは、かなりの店を制覇し、その魅力を語る。
はっきりと「自分はさぬきうどんのことを何も知らない」と自覚。
そのきっかけになったのが学生が貸してくれた、この本でした。
東京生まれの関西で広告代理店に勤める著者が、
さぬきうどんの魅力に取り付かれ、何度も香川に通ったドキュメント。
一気に読み終えると、居ても立ってもいられなくなった!
そして、4月に生まれ、ちょうど離乳食を食べ始めた娘を連れ、
どうやら避けては通れないらしい「山越」と「宮武」に
足を運んだのが、文化の日。
それは、大きく「うどん観」が変わった日でした。
それまで「うまい」と思っていた店で、もう食べることはなくなり、
娘がうどんが好きだと聞いたじいちゃんがくれた、
缶入りの離乳食用のうどんを娘が吐き出しました。
その日以来、会う人会う人に「うどん」のことを尋ね、
うどんのことばかり考える日々が続きました。
それから、週に5日、一日に5件のうどんやを巡る生活。
週に25件。
一月で100件。
もう、バカです。
もちろん、そんな生活は数ヶ月で終わりましたが。
しかし、香川特有の風土や地理、そうしたものを学ぶいい機会でした。
そして、「さぬきうどん」の地域特性や分布を考察することは、
自分のアイデンティティを深く見つめる作業に他なりませんでした。
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