建築の原点 安藤忠雄「住吉の長屋」
娘の大学受験、後は結果を待つばかり。
とりあえず、東京で建築の勉強をすることが決まり、「IKEAに行きたい!」と。
それならばと、ぼくの建築の原点である安藤忠雄作品を観ることになりました。
建築を学び始めた頃、安藤忠雄の「住吉の長屋」を知りました。
バブルに浮かれた百花繚乱の時代に、
禁欲的なコンクリートの箱は、とてつもなく魅力的でした。
鹿島出版会の安藤忠雄の作品集は、生まれて初めて買った建築家の作品集。
コンクリートの壁と、印象的な光。
厳密な幾何学のプラン。
作品集の最後に、小篠邸での安藤さんのポートレイト。
コテコテの大阪弁とは知らず、
フランス語しかしゃべらないんじゃないかと想像していた頃。(笑)
学生時代から、可能な限りの安藤忠雄作品を観て来ましたが、
個人住宅である「住吉の長屋」は、何度か訪れるも辿り着けず。
今回改めて調べるとGoogleマップに!(笑)
住吉大社の近く。
網膜に飛び込んできた「住吉の長屋」は、想像した以上に小さい作品でした!
しかし、とてつもない安藤忠雄の建築への情熱が凝縮した佇まいでした!
雨の日には傘を差さないと、寝室からトイレにいけないなどの、
逸話には事欠かないこの作品は、圧倒的な存在感でした!
その後、未見だった「旧サントリーミュージアム」から、
学生時代に友人の車に乗り合わせて夜な夜な高速道路を走りたどり着き、
向かって左側の斜面を登り覗き込んだ「六甲の集合住宅」。
やはり圧巻の存在感。
北野の商業施設は、存在は知ってはいたものの、
レンガのファサードや三角屋根など、安藤さんらしくないなと
敬遠していましたが、実際に体験すると、
立体迷路に光と陰が錯綜する空間は、安藤忠雄の建築の魅力そのものでした!
帰路、淡路島の「本福寺水御堂」を見学予定も、時間切れ。
ぼく自身が、建築の魅力を学んでいた頃、
何度も何度も作品集をめくり、空間を想像し、
安藤忠雄の空間に、建築にかける情熱に感化されたことを思い起こされた
有意義な時間でした。
娘は、建築を学ぶことになりますが、親としては、
建築の考え方を示唆すべきではないと考えています。
それは、彼女が時間をかけて自ら獲得すべきこと。
今は、ただ体験につきあうだけ。
ひとりの学生さんであれば、細かく解説しますが、ひたすらに我慢。
これからの彼女の学びに役立つ時間であればと思います。
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