« November 2016 | Main | September 2017 »

2017.08.16

「有料老人ホーム レインボー恵」増築工事

数年前、父が介護を必要とした時に、リンクスケアさんにお世話になりました。
我が父を、どのように介護するのかという視点をまず持った上で、
今回の計画の相談がありました。
田村禎啓社長とは、高松南ロータリークラブで
父のこと以前からの知人でありましたが、互いに今回の計画について、
様々な視点から会話を重ね、以下のようなことを思いながら取り組みました。

 
Img_7493
20170528192129_0020
 

これまで常識的だと考えられているものも、法の制約の範囲で考え直しました。
結果、中廊下に手摺を設置することを止めました。
部屋への出入口は、すべて引き戸で、引き戸は廊下側に設置しますから、
手摺があったところで2m切れてしまい、実質的には用をなしません。
また、レインボー恵さんでは、要介護度の高い方を主に受入していますので、
入居者さんが使用することはないとのこと。中廊下がスッキリしているのは、
手摺を排したからです。そのメリットとして、
スタッフがすぐに手を洗えるように、
手洗器を適所に配することが可能となりました。


Img_5427
 
入居者の方々が、例え要介護度が高く、
意識がはっきりしていないように見受ける人だとしても、
部屋の外の太陽の日差しや空の明るさを感じられる部屋にしたいと思いました。

多くの場合、日差しの強さを調整するために、
そして建物の外部からの視線を遮るためにカーテンを常に閉めていませんか?

雨の日は室内も暗くなり、晴れの日は明るくなる。
それは、閉じた瞼の内側にも届いているはずです。
ただし、よく晴れた日に、カーテンを開けると明る過ぎて眩しくありませんか?
よく晴れた日に、カーテンを開けても心地よい部屋にしたいと思いました。
部屋の照明は、ベッドで寝ていてもまぶしくないように、
そしてやわらかい雰囲気となるよう間接照明としました。
 
Img_5431
Img_5433
Img_5455_2

 
施設のスタッフが、心地よく入居者の方々に接することが

出来る空間にしたいと思いました。
明るく落ち着いた雰囲気の中、心穏やかな気持ちとなるよう、
清潔さを常に保て、愛着の持てる素材を使用しました。

周辺の環境になじみながら、生活の場にふさわしい

佇まいの外観にしたいと思いました。
今回の規模では、木造とすることが可能でした。
防火性能上は、準耐火建築物であり火災に強い建物となっています。
多くの老人ホームの外観は、建物のメンテナンスを極端に優先させるため、
無機質な素材を使用し、塗装で無機質さを軽減しようと
明るい色を使用しています。

老人ホームは、地域の方々にとっての迷惑施設であってはいけません。

「自分の親を預けるとしたら、この施設に預かってもらいたい」と
思ってもらえる施設でありたいものです。
住宅の多い閑静なこの多肥の場所で、静かに、端正でありながらも
前々からそこに建っていたかのように、馴染むことを目指しました。
防火性能を確保した上で、外壁にはヒバの樹を用いました。
時を経て「汚れる」のではなく「馴染む」ように、
軒を深くし「汚れ」の原因の雨が掛りにくくしています。
同時に、部屋と外の緩衝帯として日差しをコントロールするための
ルーバーを設置しました。

 
Img_5425
Img_5428
Img_5429
20170528192248_0023
 

この窓から離れたルーバーは、カーテンだけに頼ることなく、
室内にプライバシーを生み、心地よい開放感をもたらしてくれます。

日中、建物の中での様子は、外から窺い知ることは出来ません。
もちろん、それが判るという事は、「丸見え」を意味しますから論外ですが、
建物の中での生活の様子は、夕刻以降、外部に漏れる光によって
伺うことが出来ます。

このルーバーは、カーテンで光を遮ることなく、プライバシーを守りながら
生活の気配を周囲に伝えます。


その佇まいが、地域に光をもたらす行燈のような存在であればと思います。
 
Img_5452_2
Img_7516_2
 
高齢者施設について。

 高齢者に対応する施設は、多岐にわたりとても複雑です。高齢化社会に対応するために、厚生労働省系の制度からなる施設と、国土交通省系の制度からなる施設が混在します。建設に伴う補助金の制度も、施設の種類により、また年度によりかなり流動的です。要するに、国も制度の落としどころを探っているのです。さらに、地方自治体に委ねられている部分については、その根拠も明確でないものもあり、無駄だと思われる指導もあります。例えば今回の施設の場合の「中廊下」の幅。とてもゆったりしているのですが、香川県の指導で有効2,700mmとしています。指針の中に「望ましい」とありますが、現実的には1,800mmでも十分です。施設の建設費から考えると、廊下を狭くした分で3室増やせたことになります。経営者にとっては「無駄な投資」でしかありません。

施設を選ぶ際、ほとんど介護の必要のない人以外は、多くの場合本人ではなくご家族の判断となります。家族は、ケアマネージャーさんの助言を受けながらの施設を選択しますが、実際には利用しないと実情を把握することは容易ではありません。施設運営者も、多岐にわたります。医療行為と結びつく場合が多く、「レインボー恵」さんのように、母体が病院の場合は出自も明確です。一概に言えませんが、どこのどのような人が運営しているのかハッキリしない、要するに親を預けてよいものかどうか、判断の難しい施設もたくさんあります。また、病院との兼ね合いなどから、すぐにでもあずけたい事情でも、十分に検討する時間の無い場合もあります。

まだまだ絶対数が足らない状況ですが、第二次ベビーブームの世代まで、40年は需要のある施設ですが、業界団体の整備も立ち遅れているようですし、この十年で、制度の見直しも含め、生き残る施設の淘汰も進むと思われます。

それにはまず、国の方針が明確になることが必須。
人生の最後の時間を過ごす「終の棲家」が、豊かなものとなることを望みます。

 

「有料老人ホーム レインボー恵」

http://rainbow-megumi.jp/

 

| | Comments (27)

« November 2016 | Main | September 2017 »