「くいもんや おか村」OPEN!
9月5日、和食のお店「くいもんや おか村」がオープンします。
ある日、桜町中学野球部の先輩、レストラン「マルシェ」のオーナーシェフ大石朋宏さんから連絡があり、ホテルクレメント高松の後輩が独立するので協力してやって欲しいと。
そして、紹介されたのが岡村秀人さんでした。
岡村さんは、福井県の出身で、縁あって高松に来られ、独立することに。
本格的な和食の道を歩んできた岡村さんですが、「料亭」や「割烹」ではなく、お店は地元に根付いた昔ながらの「居酒屋」のようなリーズナブルで庶民的なお店にしたいと。これは、フレンチの道を進みながらも「まちの洋食屋さん」を営む大石先輩と共通しています。
お店は、カウンター10席程度と小上がりの和室、予算から考えて出来ればそのままの状態で使えそうな「居抜き」が理想、という物件を探し始めて数ヶ月、これという物件に出会わないとのことで、まずは物件探しのお手伝いから。
昨年の「美酒酒場 夜間飛行」の移転の際にもよい物件を斡旋していただいた、久本酒店の佐藤省吾さんに条件を伝えたところ、「今は、その規模の物件が少ないのですが、探してみます」と。
数日後、よい物件があるとのことで岡村さんと一緒に現場へ。そこには、佐藤さんと共に、高松のまちなかの面白物件に精通している不動産のセイコウの筒井正広さんが。これは最強タッグ!
そして、物件は、まさにカウンター10席に、小上がりの和室!
お店は「割烹」というよりは和食の「料理屋」。
10数年営業しているが、大将が引退するため7月末まで営業。
「居酒屋」だと、もう少しテーブル席が欲しいが、岡村さんが求めているお店だと、レイアウトも変えずに使えるから「これ以上の物件はありません!」と佐藤さん&筒井さんも太鼓判!
それが、6月の初旬。
そこから、岡村さんには、店舗の賃借契約や資金計画などのへの手続きにかかってもらい、ぼくは、店舗の見積に取り掛かる。
店舗のレイアウトは基本的にそのまま。
ただし、いたるところに汚れや痛みが出ているので、とにかくどこにお金を使うかを腐心する。岡村さんは、本格的な和食の道にいた人なので、絶対に清潔感を持った状態にまではしないといけないと思いました。
店のつくりそのものは悪くないので、外壁の水垢と汚れを極力落とし、室内の木部を徹底的に研磨し、塗装をやり変える。取り替えたのは、店の入口の扉くらい。これは、「店内の様子が外からある程度わかるつくりにしたい」という岡村さんの要望。後はとにかく美装で。
おかげさまで、やわらかく落ち着いた、肩肘張らない、柔和な岡村さんらしい店舗になったのではないかと思います。
工期の短い中、テキパキと工事の段取りをしてくれたのは、北原建築工房の北原正敬さん。そして、カウンターなどとにかく研磨してくれたのは、北原さんと瀬戸内国際芸術祭の山口啓介さんの「歩く方舟」やレアンドロ・エルリッヒの「美しく捨てられて」で協力してもらった、塗装屋さんのペインターズ・プロの末広くんと家具建具の丸生木工所の生島さんのチーム。
和室のテーブルと表のサインは、ぼくのポリテクカレッジの最初の教え子で、桜製作所にいたアンチポエムの松村亮平くん。
和室の間仕切りは、ぼくが山本忠司の事務所に入って最初に担当した住宅のクライアントで、ヤノインテリアの矢野和宏さん。丸亀町のお店「モアニ」もお手伝いさせていただきました。
お店のハガキや名刺は、お店から20mの場所に事務所があるROOT BOOKSの小西千都子さん。
とまあ、気心の知れたメンバー総出の仕事と相成りました。
今回の仕事は、とにかく、今ある状態をより清潔に見えるようにという最小限の手数を求められる仕事。小西さんとお店の方向性を確認する中で、とにかくさりげなくやりすぎないことが、とても大切だと思いました。
つまり、「よくデザインされている」というよりも、むしろ控えめな。
それは、岡村さんの料理に対する姿勢そのものであるのだと思います。
素材の持つ魅力をそのままに、手を加えることでその魅力を引き出すような。派手さはないけれど、しっかり心に刻まれるような。
和食のお店「くいもんや おか村」が、9月5日にオープンします。
「くいもんや おか村」
香川県高松市瓦町1-1-11
17:00-23:00 日曜定休
TEL 080-4073-7511
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