上棟式
先日、現在工事中の住宅の「上棟式」がありました。
いわゆる「棟上(むねあげ)」のことで、
祭事としては「上棟式(じょうとうしき)」と言います。
工事の始まりの際に安全を祈願して行う「地鎮祭」を
不要だと言う方は、おられませんし、
場所が変われど、そうやり方に差はありません。
しかし、「上棟式」に関してはずいぶん様変わりしました。
ぼくが子供の頃は、餅だけでなく、まんじゅうやお菓子、
そして、清酒の代わりに木札を投げたりしていました。
今は、ずいぶんと簡略化されています。
それは、大工の棟梁がすべてを取り仕切るやり方から、
施工会社の現場監督さんがマネジメントする方式になり、
さらには、「住宅メーカー」の住宅を「買う」という、
そのあり方が変化をもたらしているのだと思います。
今回の住宅は、2世帯住宅でほとんどが平屋。
一部分のみ2階。
その大きな屋根面で、上棟式。
本来は、女性が上がることはタブーでしたが、
少人数の家族での祭事ですので、上がっていただきました。
「祝詞(のりと)」は、棟梁に上げてもらい、清酒で乾杯。
しかし、その時間になるとどこから掛けつけたのか、
ぞろぞろと人が集まってきましたが、
今回は、四隅のお餅だけの予定でしたので、
そのお餅をバランスよく持って帰ってもらいました。
ぼくは、高校一年生の夏休み、初めてアルバイトをしました。
午前中の部活を終えた後、ダッシュで帰り、自転車で
父がおじたちとやっていた工務店に向かいました。
今ではほとんど使われなくなった「ちょうな」で、
丸太のまま梁に使う松の表皮を削ったり、
角ノミの工具で、仕口を刻んだりしました。
そんな、段取りが整うと建て方です。
丸一日、朝から行きましたから、日曜日だったんだと思います。
大工さん総出で朝から。
お昼と夕方上棟後には、お施主さんから食事が振舞われ、
大工さんたちにビールも飲まされました!
初めてのビールで、昼間のビールでしたからひどく酔ったのを覚えています。
しかし、大工さんたちにとっては、晴れ晴れとしたお祭り。
そうなんだと感じました。
構造が「空間」を立ち現せる、この瞬間は、
いつまでたってもドキドキするものですが、
同時に、ビールで酔っ払いながらも、
大工さんたちの晴れやかな顔の記憶が蘇ってきます。
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