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2009.10.26

胴上げ

娘の所属する太田ジャガーズは、高松市の新人戦で決勝進出を決めたが、
インフルエンザの影響で練習が中止となり、
娘と、日本シリーズ進出を掛けた楽天vs日本ハム戦を、
解任が決定的な野村監督のユニフォーム姿を一日でも長く見るために
楽天を応援しながらTV観戦。
 
Rakuten_2
 
楽天が日本ハムに敗れ、日本シリーズへの進出が断たれたが、
試合後のファンへのあいさつが終わると両チームの選手たちで
野村監督を胴上げ。

ものごころついた時から野球を見てきたが、
こんなシーンは初めてでした。

5年前、1リーグ制を視野に入れた球界再編問題。
オリックス・ブルーウェイヴと近鉄バッファローズが合併し、
オリックス・バッファローズとなり、同時に新設されたのが
東北楽天ゴールデンイーグルス。

その時、近鉄を買収しようとして、一躍有名になったのがライブドアの
ホリエモン。
経営者側の理論に、ファンの視点を忘れずに、
敢然と立ち向かったスーツ姿の古田は選手の意識を改革し、
野球をファンにとって魅力あるスポーツに引き戻した。

その古田の行動により、楽天は創設されたが、
恩師の野村が監督となるとは夢にも思わなかったのだろう。

野村監督は、考える野球を推奨し、一見冷徹なように見えるが、
指導者にとって必要なことは、選手への「愛」だと言う。

ぼく自身、2年間ヘッドコーチをし、たくさんのことを学ばせてもらった。
まずは、選手に期待すること。
悩みを享受し、努力の正しい方向性を与え、待ち、
そして、期待し続けること。
結果論で評価せず、時には、目の前の勝ちを捨てても、
気付きを与えること。

野村監督は「ボヤキ」と呼ばれるように、よく嘆くが
これは、選手への期待の裏返しである。

耳の痛いことを言われても、根底にある「愛」を、期待を
感じとっているからこそ、信頼されているのであり、
楽天の選手は勿論、日本ハムの吉井投手コーチ、稲葉など、
かつての教え子との間の縁と絆が、
最後の両チームでの感動的な胴上げを生んだのだろう。

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2009.10.13

house ay

「わたし、黒フェチなんです!」

ASJ徳島イベントでのこと。

色々なお客さんに出会いますが、
何ともユニークな奥さんでした。

細身で、サックスを演奏するご主人と、
元気のいい、黒フェチの奥さんというご夫婦の住宅。
 
House_ay_001
 

敷地は、吉野川沿いの県道から登った山の中腹。
ご主人の実家の横に建てるという計画。

ぼくの事務所がある高松と、徳島スタジオからの中間地点ということで、
ご実家で打合せをしました。
その場には、お母さんに小さなお子さんをみていただき、
お父さんも打合せに参加されました。

敷地や予算、そして要望を伺い、プランと模型を作成し、プレゼンテーション。
好き嫌いも含めて意見を言っていただき、それを踏まえた案を作成。
という通常通りの進め方をしていましたが、
ご夫婦が気に入られても、お父さんにはとても家とは思えない代物らしい。
 
House_ay_013
 
お父さんは、人生の先輩として助言されている。
これは、まったくその通りなのですが、
趣向の部分となると、相入れません。
ご主人も、隣で生活していくことになるわけですから、
ご両親に納得してもらいたいけれども、なかなか簡単にはいきません。
お父さんにしてみたら、瓦屋根はないし、奇異なものに映るのでしょう。

そこで、百聞は一見にしかずということで、
ご夫婦にはオープン・ハウスに来ていただいた、
竣工して間もない、house jsをお父さんに見ていただくことにした。

気さくな奥さんで、ちょうど育児休暇中。
お願いすると「どうぞ!」と快諾。
ぼくがいると、聞きにくいこともあるだろうと、
Tマネージャーに案内をお願いしました。
奥さんは、お父さんに、感じている魅力を飾らずに伝えてくれたよう。
 
House_ay_021
 
実際に、心地よい空間とそこでの生活を目の当りにされ、
それ以降の打合せは大変スムースに行われました。

これはこれでありの世界なんだと、受け入れていただけたようで、
予算の関係でふたつの案を悩まれているご主人に、
より望みに近い案を薦め、不足分の資金の相談に乗ってもよいとまで
好意的に考えていただけました。

建築を計画にするにあたり、いつも感じることですが、
最終的には、人間関係を豊かにすることが設計という行為なのではないかと。
住宅であれば、家族一人ひとりの関係はもちろん、周辺の方々との関係。
今回の住宅では、ご両親との関係。
それぞれの関係を豊かにすること。
 
House_ay_026
 
黒フェチの奥さんと、どこまで黒でいけるのか楽しみでしたが、

外観は、黒だと伝統的な建物の実家の横では過激なので白にして、
最後に施工する床を黒に、そして浴室の浴槽と床を黒としました。
ご夫婦ともに、ぼくの提案をしっかりと踏まえながらも、
実によく考えられ、質問も建築の核心を突くもので、
やり取りはとても意義深いものでした。

実家の建物と掛け離れることなく、寄り添うように、
周辺の豊かな美しい風景を、様々に感じられる
そんな住宅になったのではないかと思います。

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