優勝!WBC 決勝 vs韓国
WBCの決勝にふさわしい、まさに雌雄を決する死闘でした。
それほどに、日本も韓国も心とからだの準備は万全。
そして、今大会、この2チームは、野球というスポーツが
どんなに素晴らしいものか、世界に知らしめたゲームでした。
先発の岩隈の出来は勿論、イチローの働きが大切なゲーム。
韓国の先発は、ここまで抑え込まれている左腕 奉重根。
イチローは、その重圧と責任を感じながらも集中力が研ぎ澄まされているのが伝わる。
そのイチローが初回センター前にヒット!
これまでなら強攻策だが、中島は手堅くバント。
後続はつながらなかったが、期待できる立ち上がり。
3回、中島の内野安打と青木の敵失、城島のバント失敗で、
1死1・3塁の場面で調子の上がってきたガッツこと小笠原。
少なくとも1点という引っ張るバッティングで先制!
内川が続くが、村田に代わって出場の栗原は併殺に終わる。
岩隈はこれまで同様、落ち着いた立ち上がり。完璧な投球で隙を与えない。
怖いのは四球だけ。
昨年21勝を挙げたことも驚きだが、200回以上の投球で
打たれたホームランはたったの3本!これは驚異的な数字。
5回、先頭の韓国唯一のメジャーリーガー秋信守に
低めのスライダーをうまく打たれ同点!
1死後、レフト線への痛烈な打球を内川が難しいバウンドを
スライディングキャッチし、2塁へ好返球!打者走者をアウトに!
これは大きかった!
嫌な流れを断ち切るスーパー・プレー!
入団以来、トレードマークの顎のせいで体調不良が続きながら、
また、チーム事情で内外野のあらゆるポジションを守っていた、
元来、内野手である彼ならではの素晴らしいプレー!
韓国先発の奉重根は、これまでの出来とはほど遠く、走者を出すが、
粘り強く、もう一本を与えず、日本は打ち崩せない。
終盤の7回、先頭の片岡が、スコアラーの指示通り引っ張ってレフト前安打!
続く打者イチローの2球目に盗塁。
そして、イチローは最悪走者を送る3塁線へのセーフティー・バント!
ボールのやや下にバット入れて、打球を殺す技術は、もはや芸術!
無死1・3塁とし、中島が勝越しのタイムリー!
8回、1死後、内川の安打に続き、稲葉が1塁線を破り、2・3塁とする。
犠牲フライでも、内野ゴロでもよい場面。
岩村これまで同様、左方向におっつけてキッチリとレフトフライ!
3-1と突き放す!
その裏、ここまで辛抱強く投げている岩隈が、先頭打者に2塁打。
続くショートゴロで1死3塁。
ここで、韓国は代打の切り札大砲 李大浩。
センターへのあわや抜けそうな強烈な打球で1点差。
9回ダメ押しの欲しいところで、先頭のイチローがライトオーバーの2塁打!
中島がバントを2度失敗し、流れを切ってしまった。
後続も続かず、1点差のまま最終回へ。
そして、ここでダルビッシュ!
先頭打者を三振に取るも、スライダーが指に掛かり過ぎるようで、
制球がままならない。
3番4番を2連続四球。
韓国は、一気に逆転と見て、それぞれに代走を送った。
ここは、何とか持ちこたえて欲しい場面。
しかし、甘く入ったスライダーを打たれ同点!
一進一退の試合は、延長戦に突入。
しかし、チームが団結し、選手の層も厚い日本チームが負ける姿は
想像できない。
どんな展開が待っているのか。
10回、昨期首位打者の先頭の内川がうまく右に打って出塁。
つなぐ4番稲葉が、簡単に送りバントを決めた。
高松一高の大先輩の中西太の愛弟子、「何苦礎魂(なにくそだましい)」岩村が、
レフト前にクリーンヒット!
そして、代打に昨日絶好調の川崎。
期待できる男だが、簡単に打ちあげた。
一番やってはいけない打撃だった。
絶対に得点の欲しい場面。抑えられると流れは相手に行く。
その場面で迎えるは、イチロー。
弟分の川崎の凡打を見て、そしてこの状況で、もはや打つしかない!
岩村が盗塁し、歩かされるかと思ったが、ヤクルトの守護神林昌勇は、
勝負を選択。
さすがに簡単に打たせてはくれない。
コーナーに力のこもった球を投げ込む。
イチローも、究極の集中力で粘る。
そして、やや甘く入ったシンカーをセンター前ヒットで2点突き放した!
ここは、役者が違った!
さらに、四死球で満塁とするが、今日4番の城島は不発。
10回裏、この回を抑えれば日本の優勝が決まる場面で、ダルビッシュ続投!
絶対にしてはならないのが、先頭打者への四球。
フルカウントから粘られ、四球!絶体絶命のピンチ!
韓国も簡単には引き下がらない!
ここで、開き直ったのか、曲がり過ぎてボールになっていた
スライダーを修正してきた。
韓国は、野手全員を使い食い下がったが、
最後は曲がり過ぎるスライダーで三振!
なかなか簡単には勝たせてくれなかったが、負ける気がしないほど、
日本チームは素晴らしいチームだった。
韓国選手の能力の高さも、十分に思い知らされた。
では、何が勝敗を決したのか。
勝利にたいする情熱は、同じ
決定的に違っていたのは選手層の厚さ。
そして、基本的な技術の習熟度は、今大会ダントツだった。
本来の役割を果たせなかった藤川が私情を越えて、
ダルビッシュにアドバイスを送り、また、そのことに感謝するダルビッシュ。
そうした、メンバー間の信頼関係も素晴らしかった。
こういう大舞台で野球ができるという、家族やこれまで支えてくれた人たちに対する感謝の念。
そして、何万人といる真剣に野球をやってきた人たちの代表であるという誇り。
そして、野球を愛している人たちへの思い。
計り知れない重圧の中で、自分の力を発揮できるだけの心とからだの技術。
彼らの野球に掛ける熱量を、たくさん与えてもらったことに感謝します。
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