花ノ宮クリニック
若い頃からの暴飲暴食と不摂生、そして両親ともに糖尿病だった父は、
やはり糖尿病になり、近年は節制をしていたのですが、
母が亡くなってからの偏った食事のせいか、
腎臓を患い、昨年から人工透析を始めました。
担当医の先生から、腎臓病について、
そして、人工透析とはどういうものなのか、
また、人工透析を始めるとどのようにしないといけないのか、
説明を受けました。
一昨年、集合住宅「unite」を施工してもらった穴吹工務店の筒井支店長から、
今回の依頼を受けました。
開業する先生からの依頼で、土地探しをしていたのが穴吹工務店さん。
土地が決まり、設計という段階になって、
先生がぼくの仕事を気に入っていただいたこともあり、
仕事をした関係があるということで、紹介していただきました。
幹線道路沿いの立地とは異なり、閑静な住宅街の一画でありながら、
交通の便に優れた敷地。
それだけで、先生の地域に根ざした病院の在り方が伝わる。
お話を伺うと、内科医院として建てるけれど、
人工透析の施設も設けるとのこと。
更に、父がお世話になった先生の上司とのこと。
週に3回、4時間の人工透析を受けるその環境には大変興味があり、
空間の在り方についての考えを話すと、先生の考え方にも合致しました。
血が入れ換わることで、体温が下がり、また、年配の方が多いこともあり、
空調の風が、直接からだに当たらない方式をとること。
外へのつながりを感じるように自然光を取り入れながらも、
ルーバーで空調への負荷を軽減し、直射日光を調整すること。
そして、ベッドに横たわり上を向く姿勢がほとんどなので、
光源が眩しくないように見えないように、
また、やわらかい雰囲気を演出するために間接照明とすること。
その場での、そんな提案をうなずきながら聞いていた先生は、
スタッフのスペースの重要性について話をされた。
患者さんの環境を良くすることは、
スタッフの病院での快適さを確保することと同義であると。
オープンにあたり、新聞広告を掲載することになりました。
これは、皆さんも新聞でよく目にすることだと思います。
しかし、ここでの先生の提案は、
土地を探し、工事を請け負った穴吹工務店の筒井支店長と、
先生の思いをかたちにした設計者であるぼくとの対談を
掲載してはどうかというものでした。
先生曰く、
「私の考えに、具体的な場所とかたちをあたえたのが、
穴吹さんと林先生だから」。
さらに、当初の提案では、病院の名前はわずかに出ますが、
地図と営業時間さえ記載しないというものでした。
閑静な住宅街に、建物が建つことによって、
周辺の環境に調和するような、さらに引き立てあうような、
そんな佇まいになっていればいいと思います。
花ノ宮クリニックhttp://www.hananomiya-clinic.jp/
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