「山越うどん」
さぬきうどんの東の横綱に鎮座するのは、「山越うどん」である。
香川で一番うまいうどん、ということは、日本で一番うまいうどん。
ということは、世界で一番うまいうどんである。
全盛期の江川のストレートを彷彿させる、
キレのよい、伸びのよい、コシのある、剛速球! ではなく、うどん!
うどんのあり方には、様々なものがあるが、
洗練されたうどんの完成系として突出している!
1998年11月3日。
この日は、ぼくが意識的にうどんを食べ始めた日である。
その日、覚悟をし挑んだのが、「山越」と「宮武」である。
学生時代を除いて、香川で生活していたぼくは、
自分なりにさぬきうどんのことを知っているつもりだったが、
「山越」のうどんは、一瞬にして「うどん観」を変えた!
もうそれは、衝撃だった!
それから狂ったように、一月に100件のペースでうどんを食い始めたのは
これまでにも書いてきた通りである。
先日、久々に訪れた。
今では、超有名店となり、土曜日や祭日などは大変な行列である。
香川で初めてうどんや巡りツアーを企画した久本酒店の佐藤哲也社長は、
ゴールデンウィークに、何人並んでいるのか数えに来たほどである!
だから、平日の開店間もない、行列の無い「山越」は、贅沢なのだ!
それでも、やはり店内は大勢の人である。
カルボナーラうどん「かまたま」発祥の店として名高いせいか、
ほとんどの人は「かまたま」を頼んでいる。
ご存じのことと思うが、うどんは、茹でて、最後に水で締める。
水で締める直前に、釜から揚げるので、「釜揚げ」。
それに、卵をまぶしたのが「かまたま」。
さぬきうどんのバイブル「恐るべきさぬきうどん」の第1巻にもあるように、
「山越」のうどんのあの奇跡的なツヤとコシは、
最後に締める、綾側の伏流水、上質の井戸水が生み出すのである。
たまにしか来ない人が、噂の「かまたま」を食べたい気持ちはよくわかる。
だから、あえて「かけ 冷たいの一玉」と頼む。
10人ほど「かまたま」を待っていた列をスルーし、会計で150円。
それだけを食べる優越感!
冷たいだしと、うすくち醤油を少し。
奥のパラダイスと化したガーデンで食す!
うまい!
幸せになる!
このうどんをいつまでもつくり続けてほしいと、心底思う!
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