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2007.08.31

house hk

不思議な体験だった。

初めての打ち合わせの際、ご両親と住めるようにしたいこと、

必要な諸室などをつづったメモを一枚いただいた。

控えめに、申し訳なさそうに希望を仰る。

その後、敷地を訪れた。

吉野川沿いの静かで緑の豊かなところだった。

段状になった長く広い敷地に、あまり強く主張しない、

控えめな在り方がよいと思った。

Ika_148 

周囲の自然を多様に感じさせる、中庭を点在させる平屋の案を提案した。

最初の提案で、決まることは無いと思っています。

だからこそ、初回の提案は、自分が考えうる最良の案を出します。

やや過激かなと思う部分があっても、それに対する反応を探るというか、

クライアントの「好み」を見出すことが、

その後の方向性をより明確にするからです。

Ika_155 

模型と図面でひと通り説明した後、「いかがですか?」と尋ねると、

「期待していた通り、すごくいいです」。

その言葉に一番驚いたのが、同席していたASJ徳島スタジオの本田社長。

まさか、この奇妙な案を受け入れるとは思わなかったようだ。

もちろん、初回の案そのままで進んだわけではなく、

ご両親とも相談され、出された要望を踏まえ数回の打合せを重ね、

最終案に到ったが、コンセプトはしっかりと残り、

要望の生活空間に、よりフィットさせたかたちになったのではないかと思う。

Ika_139

過程、様々なこちらからの提案に対して、

「それで、結構です」と、黙して語らずではないが、

ほとんどの提案は受け入れていただいた。

あまりに謙虚な姿勢に本田社長が、

「気になること、ちょっとしたことでもかまいませんので

 遠慮せずに仰ってください。」と。

「いえ、よく考えていただいてますから。」

有難いが、重い言葉。

謙虚なご夫婦だった。

実は、竣工してから3ヶ月が過ぎてからこの文章を書いている。

何とも印象的なご夫婦とのやりとりを表現する言葉を捜していた。

ぼくが、今回のご夫婦に感じていた、どこか懐かしい感覚は、

「奥床しさ」。

「奥床しさ」をもったご夫婦に相応しい、

「奥床しさ」をもった建築になっていればいいと思う。

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Comments

Hi friends, its wonderful post concerning tutoringand entirely explained, keep it up all the time.

Posted by: tee shirt printing | 2015.11.06 10:15

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