吉田 都
娘が3歳のときにバレエを始めた。
表現することに抵抗を持たないように、
音楽に合わせてからだを動かすことを、と思い薦めた。
後輩のお母さんが営むその教室は、発表会も無い。
そして、かなり躾が厳しい。
だからいいと思った。
さしてバレエそのものに興味があったわけではないが、
からだの動きを極限までに意識して制限し動くことは、
それなりに意味があるように思えた。
9日、高松で、吉田都がゲストプリンシパルとして
熊川哲也のKバレエ カンパニーで踊った。
本格的なクラシックバレエの舞台を見たのは始めてである。
十数年前、コンテンポラリーの巨匠マース・カニングハムの
高松での公演は体験した。
バレエとは、誰が何のために踊るものなのか、
また、ストーリーは必要なものなのか、
そのストーリーと関係なく踊るシーンは必要なのか、
技術と表現を融和させようとする必要があるのか、
たくさんの疑念を抱きながら見た。
吉田都が同じステージの他の誰よりも優れていることは
素人目にも明白だった。
彼女だけが自分の「間」を表現していた。
基本的な技術に支えられた正確無比な動きが、
逆に、ゆったりとした繊細で優美なやわらかい空間を生み出した。
卓抜した技術を持つものが陥りがちな、これ見よがしなところが無く、
全ての動きを高速で意識し、コントロールしていた。
そして、さらに驚いたのは、彼女はまもなく42歳を迎えることである。
1歳年上だ。
あの動きを生み出す肉体!
生活を、生き方そのものを厳しく制御しなければ出来ない業。
吉田都自身の言葉でそのことは語られている。
「バレリーナの稽古は、技術を磨くことではなくて、
自分を磨くことです。
終わりのない自分との闘い。」
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