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2007.03.30

親の中で親は育つ

先日、PTAの会長会があった。
会長が仕事の都合のため参加できず、代理で出席。

年度最後の会合ということで、1年を振り返っての
ワークショップがあった。

講師は、香川大学生涯教育学習センターの清國祐二教授。

たまたま近くに座った人たちをグループに分けスタート。
まちなかの小学校の統廃合で、廃校が決まった小学校の会長さん。
高松でも郊外。平たく言うと田舎の小学校の会長さんと
中学校の副会長さん。ちなみに、ナンチャンの出身校。

どちらも、うるさ型も多いが、コミュニティーはしっかり残っている地域。
皆、子供たちの生活環境を良くするために活動しているという目的を
共有することと、学校、地域、子供会、親など、
それぞれとコミュニケーションをしっかり取ることが必要だと。

1年間、PTAの役員をさせていただいて感じたこと。
忙しい中、役割を引き受けてくれる方は、いい人ばかり。
子供のためには、誰かがやらなければならない役割である。
そのことを、受け入れている人たち。

一方、子供会(育成会)に入っていても、高学年になり、
役員の順番がまわって来そうになると辞めさせる親。
役員決めの当日に辞めたというケースも聞いた。
ひどいのは、子供会行事のあるときだけ入会し、直後に辞めさせる親。

子供たちに、どんな親の姿を見せようとしているのか。

小学生の頃、子供会の地区対抗のソフトボール大会は一大イベント。
まず、選手に選ばれること。
ぼくは、3年生から選手に選ばれたことを誇りに思っていた。
6年生最後の大会、練習に練習を重ねたのに、
負けた悔しさは今でも忘れない。
ぼくがもう少し、冷静にチームをまとめられれば十分に優勝を狙えた。
そこから学んだことは多い。

「役員をやるような人は、要領の悪い人」という人がいたようだ。
そう思うのは勝手だ。ただし、他言すべきではない。

役員になることが全てではないことは百も承知だが、
一人ひとりが自分に出来ることを模索し、実行する、
また、自分自身が出来ないのであれば協力する、
理解する姿勢が必要だと思う。

ワークショップの最後、先生の言葉。
「子供は子供の中で育ちます。
 今、親の中で親が育つことが必要です」

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2007.03.28

宮武うどん店

素朴で飾らず、質実で誠実なうどん。

手切りの不揃いで独特のねじれた麺が生み出す食感。

透明感のあるすっきりとしただし。

藤原屋のぼてっとしたてんぷらもうまい。

マルオの濃い口うまくち醤油とよく合う。

 

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店の入り口手前、3列のベンチで待つ。

そのベンチに座った人が中に案内される。

グループ名と注文を書き、席に着く。

カウンターに腰掛けると、大将の動きがよくわかる。

 

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大将の気遣いは凄い!

すしの並べ方。

取り皿の並べ方。

注文の確認。

麺を切る時以外は、周囲に目を配り、声を掛ける。

ばら寿司しかなかったその日は、従業員に

「ばら寿司よりいなりやろ。」

真意は?

同じ寿司種にあげが加わり、

かつ、食べやすいからか。

 

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会計は、簡単なもの以外大将の暗算。

もちろん、作業しながらである。

客は、うどんの大小と、てんぷら、寿司の数を申告する。

てんぷらは、種類と数を告げる。

てんぷらの値段は同じ。

種類を告げるのは、どのような人が何を好んでいるのかを

リサーチしているのではないかと思う。

 

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大将の体調が優れないため、休むことが増えたという。

閉めるという噂も聞いて、気になっていた。

健在であることを確認できた。

あまりに不揃いの麺が、体力の衰えを感じさせたが、

単なる気のせいであって欲しい。

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2007.03.21

直島 スタンダード展2

地中美術館会館以来、直島に訪れる人の数は4倍になった。

 

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直島の人たちの海水浴場として親しまれた「パラダイス」が、

福武書店に買収されたのが1987年。

ベネッセハウスオープンが1992年。

魅力が浸透するのに10年を費やした。

瀬戸内の美しい自然と一体となった建築とはいえ、

当初は、美術作品を購入して観覧させるスタイル。

 

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地域ボランティア、学生ボランティア、個人・企業協賛など、

地域住民を巻き込んでのムーブメントとなった契機は、

2001年の「スタンダード展」。

旧来の集落 本村地区に建築とアートが一体となった作品を点在させた。

端緒となったのは「角屋」。

 

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わが師 山本忠司と宮島達男のコラボレーションにより、

廃屋寸前の伝統的建物を、復元しながら現代アートとして再生。

住民により刻まれたリズムで水に瞬くカウンター。

景観の再生の鑑となり、住民の参加意識が育まれた瞬間。

 

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今回、直島で育った友人を案内した。

当人は、訪れる人たちが知っていること、知りたいことに

皆目興味が無いが、慣れ親しんだ場所としての記憶だけがある。

フェリーが満席であることに驚く。

オルガンも習った幼稚園が、ギャラリーに、

幼い頃通った歯医者が大竹伸朗の摩訶不思議な空間に、

床屋がタコに占領される空間、

だが、反応するのは、「記憶」である。

島の「ごとうパン」は同級生。

直島八幡神社のボランティアガイドは先輩。

 

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作家やベネッセといった企画側が何を意図し、

いかに創造してきたのかということが興味の対象であったが、

生活をしてきたものの視点を肌で感じ面白い体験となった。

 

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彼らにとっては、ベネッセ以降の現代アートより、

直島小学校に始まるの石井和紘の仕事は、鮮烈な体験だったようだ。

 

 

 

 

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2007.03.16

house ym

スタジオに一枚だけ掛けてある写真のパネルを見てご指名。

20歳代後半のご夫婦と面会となった。

建築家紹介ASJ(アーキテクツ・スタジオ・ジャパン)

高松スタジオの仕事。

ほとんどの方は、イベント会場でお会いし、その時の感触で指名となる。

指名していただいて、初めて設計がスタートする。

 

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ここ数年、設計に関する情報が増えた。

だが、設計者各人のデザインの志向性の違いを認識できる方はまだまだ少数。

ただし、理解の発展段階においてはそれが必ずしも悪いことでもない。

自分自身、建築家を目指した学生時代、修行時代、

そして今も自分の本当にやりたいことや可能性を模索しているのだから。

 

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しかし、「匂い」にも似た直感というのはあるのだろう。

空間構成や素材に対する的確で具体的な、ただし断片的なイメージがあり、

それらに秩序を見出し、統合させる操作はスムースに進行。

05年7月にスタートし、9月には概算見積。

ただし、お互いのやりたいことが予算から大きく溢れ、修正。

具体的な金額を前にしないと、希望は無尽蔵に膨らむ。

予定金額に近づける作業は、優先順位を整理すること。

どの場合でも必要不可欠なプロセス。

 

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必要不可欠な機能と要望を整理し、

これまで、中庭などを用いたが、今回は、開口部と空間構成から

周辺環境と緩衝させ、プライバシーを確保しながら

光の移ろいを感じられる空間を目指した。

 

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引渡しの際の会話の中で、ご主人。

「ぼくが建築家なら、この厳しい予算では断ったと思います。

 ありがとうございました。」

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2007.03.12

花冷え

暖かくなり、桜の咲くころ、

忘れかけた寒が戻ることを表す美しい言葉。

小学校の校庭、木々の間に一本だけ小さな桜の木。

まわりの木々に守られ、日あたりのよいその場所で、

満開を過ぎ、散り始めている。

 

Sakura

 

風流は寒きものなり」と云う斎藤緑雨の言ではないが、

そろそろ大好きな花見の準備を始めようか。

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2007.03.10

house hu

建築の設計は、「敷地を読む」ことから始めます。

方位や、道路の位置、広さはもちろん、

周囲のスケール感や、佇まい。

どのようなヴォリュームを置けば、

周辺の環境と融和させることができるのか。

通常、可能な限り建物を東西に長く、

南側を空け、日照を確保することを試みます。

 

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徳島市の閑静な住宅街。

北側の住宅の雰囲気から、30年以上住んでいる年配の方。

その佇まいから、ちょっと気難しそうな感じ。

建設の敷地は長年、空き地の状態で、そこに敷地北側に2階建ての

ヴォリュームが来ると、日照が遮られ、嫌な感じになることは明白。

幸いにも道路は、南と東。

敷地西側にヴォリュームを寄せ計画。

北側のお宅は、昼過ぎまで十分に日照が確保できる。

 

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1階 南面からと、2階の見上げる中庭から直接に間接に採光。

視線や気配、光が交錯し、錯綜する。

外周面に、必要に応じ、スリット状の窓をちりばめた。

防犯上、物理的に進入することのできない幅のスリット。

ASJ徳島スタジオのオープニングのイベントで来ていただき、

一昨年の7月から計画がスタート。

とても、個性的なご夫婦で、打合せも楽しくやらせていただきました。

それまでの仕事も、何度となく見に行かれ、

かなり惚れ込んでいただきました。

計画当初から、最低限の要望をよく整理したうえで伝えていただき、

それ以外の部分は、

「それに関しては、特に希望はありませんので、

先生の良いようにしてください。」

とおっしゃっていただきました。

 

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ぼくは、かなり細かく、キッチンでの動きや、家事のパターンを考慮し、

確認しながら仕様を決めますが、奥さんは、見事なほどに、

「いえ、特に気にしません。」と、サバサバ。

しかし、外壁に関しては、ぼくは、場所の特性から、

白く柔らかく光を反射する素材が良いと説明しましたが、ご主人は、

「サンシャイン歯科」と「house tn」と同じ外壁がよいと頑とし、

奥さんは「先生、ここで主人を説得しないと後悔しますよ」と、援護射撃。

結果、素材がマイナーチェンジしており、より深みのある素材となり、

この場所には最適な質感を獲得でき、良かったのではないかと思います。

 

さらに写真を見たい方は、アルバムへどうぞ。

 

 

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