「松家」
うどんの在り方は多種多様で、だから奥が深い。
食感に加え、太さもバラエティーに富んでいる。
しかし、複数の麺を出す店となると限られる。
「松家」には、「太いん」と「細いん」がある。
数十年前と比較すると、全体的傾向として、細くなっているようだ。
食感の問題に加え、太いと湯で時間が長くなり、
また、湯がく加減も難しいようである。
「松家」は、お客さんの要望にこたえて「細いん」を出し始めたようだ。
どちらも、それぞれ抜群にうまいが、どちらにするのか悩む。
同じ生地でありながら、太さの違いで、違った味わいが生じる。
悩んだ結果、ある結論にたどり着いた。
「太いん」と「細いん」を一玉ずつ、同じどんぶりに入れて食べる。
一回で、二度楽しめる。
これまでにも書いてきたが、一度水で締めたうどんは湯がかない主義だ。
カウンターにあったかいダシがあるが、奥の台に冷たいダシがある。
しょうがをたっぷりと入れる。
うまい!
自然と顔がほころぶ。
狭い路地の多い周辺のスケールとマッチした佇まいもよい。
そんな、さぬきうどんを代表する店である「松家」が、
今月22日をもって閉店する。
閉店の理由は分からないが、たまらなく寂しい。
小麦のしっかりつまった食感は唯一無二の存在である。
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