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2006.09.19

四十不惑

昭和41年9月19日。

2450g、9カ月の早産。未熟児として生まれた。

1週間保育器に入るほど状況は悪く、

先生は「もう持たないかもしれない」と。

父方の祖父からすると、6人目の孫にして始めての男児。

「この児を殺したら、先生、あんたを殺すで!」と。

そんな願いが通じてか、大きくすくすくと育ちました。

祖父は、寺社仏閣も手掛ける大工。

村会議員も務めたまちの顔役的存在。

50歳で息子達に道を譲り、リタイア。

書に通じ、威厳と貫禄があった。

小学6年生のときに68歳で亡くなったが、

ぼくのなかではかなり大きな存在でした。

2歳上の姉と年子の弟。

父母は、あまりああしろこうしろと言わず、ある意味放任主義。

自分自身が子供を育てる立場になったとき、思い返してみると、

ぞっとするほど暴れまわって遊んでました。

叔母は、「お母さんは特別な考えがあって

あんたらに細々とは言わんかったんやと思う。」

もの心ついたときから、「プロ野球の選手として活躍する」ことが目標。

以降、建築の道に進むまでは「ゆめバトン」の項を。

タイトルの言葉は孔子の「論語」より。

十有五にして学に志す。

 一応、15歳の時、建築へと進むことを決意。

三十にして立つ。

 一応、30歳の時、独立。
 30歳というのは、ぼくの中で大きな節目で、

 独り立ちできる自分足りえているのかという、自問自答を重ね、

 1年1年の成長を他人と比較していた。

 35歳を過ぎた頃から、年齢や他人のやることをあまり気にせずに、

 自分のなすべきことを見つめ、

 それを少しずつ実行できてきたのではないかと思う。

四十にして惑わず。

 四十歳になったら処世について迷わない。

 つまり、自らの学問に対して自信を固め、道理も明らかになり、

 人生の問題に迷う事がなくなったという。

五十知命(天命を知る)

六十耳順(人の言葉に耳を傾ける)

七十従心 と続く。

人生、残すところ20年。

どのような40歳代を送るのか、もっと正確に言えば

45歳までにどのような営みをするのかによって、

ぼくの人生は決まると思っています。

しっかりと道を見つめ、足元を見つめ、

思索をめぐらせ、惑わずに時を重ねたいと思います。

今日から40歳。

この世に生を授けてくれた父と母に感謝。

ありがとう。

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2006.09.14

GODZILLA RETURNS

松井秀喜が約4ヶ月ぶりに復帰し、4打席連続安打。

デレク・ジーターの言葉を借りれば「簡単なことではない」。

松井選手の動作は、決して美しいものではない。

キャッチング、スローイング、ランニングフォーム、

そして、ホームランを打ったスイングでさえ、

いつもぎこちなさを感じる。

メジャーに移籍してからは、ホームランヒッターではなく、

中距離打者である。

メジャーというと球速100マイル(161km)を投げる投手が

何人もいて、かつては「力と力の勝負」という印象があった。

しかし、現実にはそんなに単純なものではなく、

微妙に変化するツーシームなど、バットの芯をわずかにはずすといった、

かなり理知的な野球をする。

速い球を打つことはもちろん簡単ではないが、速さは相対的なもので、

緩急の組み合わせによって130kmの球を150kmに感じさせることも可能だ。

松井秀喜はメジャーに対応するためにホームランよりも、

まず、正確にミートする感覚を身につけ、

その上でホームランが増えていけばよいと思っていたはずだ。

しかし、力を込めたスイングでないとオーバーフェンスしない。

ミートに主眼を置いたバッティングでは、

スイングの軌道はコンパクトにならざるを得ない。

正確にミートし、かつ、オーバーフェンスさせるためには、

筋力を尋常は範囲を超えたものにする必要がある。

これは、ある筋からの情報であるが、今シーズン、

彼はホームランヒッターになるべく、筋肉増強剤の使用を

決意したらしい。

ドーピング検査の無いメジャーでは、筋肉増強剤の使用は

選手のモラルの問題。

近年の、様々な選手が疑惑に掛けられ、その釈然としない反応振りから、

かなりの選手が使用していることは明白だ。

松井秀喜の動作は美しくない。

しかし、彼の野球に取り組む姿勢、チームに貢献するための姿勢、

野球そのものの普及と理解を広めることに対する姿勢は美しい。

その局面で、どんなプレーをすることがチームに勝利を呼び込むのか、

彼は、そのイメージを明確に持ち、かなりの確率でトレースできる。

人間 松井秀喜は美しい。

ゆえに、チームに、野球界に必要な選手だ。

だが、その彼が禁忌に手を出した。

因果関係は明白ではないが、ゆえにWBCに参加せず、

そうした彼らしくない、後ろめたい行いが、

4ヶ月前の有り得ない事故を呼び起こしたように感じられる。

野球は、大変高度な技術が必要なスポーツだ。

その技術を体得するための姿勢と莫大な時間の積み重ね=練習。

身につけた技術を試合で発揮するための自信と精神。

復帰戦の松井秀喜は美しいスイングをしていた。

ミートに集中していたことと、

野球が出来る喜びが伝わってきた。

ぼくが願うことはひとつ。

人間 松井秀喜の持つ、真摯な姿勢を貫いて欲しい。

その時が、真の復活。

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2006.09.13

「UDON」

やっと、観てきました。

十分に楽しい映画でした。

さぬきうどんブームの火付け役、田尾和俊さんが編集長を務める

「タウン情報かがわ」で、今まで注目されることの無かった

香川の生活の中のうどんを取り上げるようになった経緯をベースに、

本物のうどんやのおっちゃん、おばちゃんが登場し、

後半は、ユースケ・サンタマリア演じる香助と、

彼を取り巻く家族のストーリー。

田尾さんも、田尾さんを「中北」へ連れて行き、

麺通団の始まりへのきっかけをつくった安藤芳樹さんも親交があり、

登場するうどんやも知ったこところばかり。

でも、そんなことじゃなくて、テンポよく展開されるストーリーに、

2時間20分、飽きることなく楽しめました。

何より、本広監督の描く、うどんを通した素朴な香川の人たち、

また、その土壌を育んだ風景には、リスペクトと愛が溢れていました。

以前にも書きましたが、

うどんは、「小麦粉、塩、水」から出来ています。

何が味の差に出るのか。

やはり、「人」です。

うどんをまじめにつくる姿勢。

来てくれる客に対する、ホスピタリティ溢れる対応。

朴訥とした、そして実直な行いがうどんには現れる。

近頃、香川特有の価値観とは何かということを考える機会が多く、

思案を巡らせていたが、まず、「和をもって良しとする」こと。

そして、「大欲」。

私欲ではなく、それを突き抜けた公に献身する姿に、

「美しさ」を感じるようだ。

そんなことを感じた作品でした。

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