東京讃岐会館
三田に、大江宏の設計による東京讃岐会館がある。
現在は、喜代美山荘の運営による「東京さぬき倶楽部」。
10年振りに訪れた。
その佇まいは、山の手の地霊を体現したかのような品格と重厚さがある。
ホワイエは、空間の重心が低く、奥の手入れされた日本庭園に
自然と意識が向かうように導かれる。
そのホワイエには、ジョージ・ナカシマのソファが
たっぷりと置かれている。
大江宏の空間に、ジョージ・ナカシマの家具という組合せは、
至極贅沢である。
大江宏は、明治神宮宝物殿などを手掛けた、新太郎を父に持ち、
幼児期の日光での宮大工との生活に始まる日本の伝統的な
建築のありかたを肉体的記憶にもちながらも、
近代建築の洗礼を受け、その間での相克が大江の建築の根源にある。
東京大学では丹下健三と同期。
共に、日本の伝統と近代建築との間に身を投じ、
その成果を「香川県庁舎」と「香川県文化会館」に現した。
丹下健三はひとつの形として伝統を捉えたが、
大江宏は、それらが生み出される混沌まで立ち戻り、
その間の相克を、人生を掛けて挑んだ建築家である。
大江宏。丹下健三。イサム・ノグチ。ジョージ・ナカシマ。
自らのアイデンティティを、内奥まで見つめ、
それを作品に投影した稀有な作家が、
香川と深い関係を持つにいたる必然があったことは、
大変興味深い。
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